読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【書評】親に壊された心の治し方 「育ちの傷」を癒す方法がわかる本【How to 認知療法】

連休も、もう終盤。表は雨。

やっぱり連休って、いつかは終わるんだよねえ。

 だったら、がっかりするのはぎりぎりまで引っ張っておいて、溜まった「やりたいこと」を一つ一つ消化していきましょうか。

 

今回紹介する本:親に壊された心の治し方「育ちの傷」を癒す方法がわかる本

著者:藤木美奈子

出版社:講談社

初版:2017年1月23日

Amazon CAPTCHAAmazon CAPTCHA

https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/4110CmkOHTL._SL160_.jpg

どんな本か?

前半:女性週刊誌や主婦向けワイドショーで取り上げられるような“壮絶人生”の紹介

中盤:このような事例がなぜ起こるのか?-すべては”思い込み”

後半:呪縛からの解放のためのワークショップ

もうちょっと掘り下げると

 著者自身が”育ちの傷”つまり生育過程で親からの強いプレッシャーを受け、その影響がその後の人間関係に影を落としていたとのこと。

 自分自身をその呪縛から解放しようと27歳ころから自己流の自分改善プログラムを考案、実践。そのメソッドが図らずも認知行動療法に通じるものであると知る。

 現在、児童相談所福祉施設などで「自尊心回復プログラム(SEP)」を展開中。

この本のすごいところ

 心の問題についての本はたくさん書店に並んではいるのですが、書き物ってやっぱり、著者の視点からでしか書けない訳で、

専門家は専門家の視点ーこんな相談者がおいでました

当事者は当事者の視点ー心の傷を負わせた人の視点

に分かれてしまうのですよね

専門家目線

認知療法については、大御所の書かれたバイブル的な本があります

 

Amazon CAPTCHA

https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/316GHn96FcL._SL160_.jpg

はじめての認知療法/講談社新書

大野裕 著

講談社新書 2011年

 関心がある方は是非ご一読をお勧めするのですが、治療を施す側からのマニュアル本なんですよね。知識として理解できるし、なるほど!と思えるのですがそこから一歩踏み出しにくいのです。

当事者目線

その一方、自分のタフな人生を回顧するというテイストの本もあります。  

Amazon CAPTCHA

https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61uUuMJjPRL._SL160_.jpg

この世で一番大切な「カネ」の話

西原理恵子 著

理論社 2008年

 これもおすすめです。

 人気漫画家/コメンテーターが成長過程でいかにタフな環境下にいたか、ずしっと響いてきますし、自分の生き方についてはたと考え直したくなります。

 ただ、

 これ読んで具体的に何をどう考えなおせばいいのか?

 感動した!だけだともったいないんですよね。

 

改めて、本書の内容に戻ります

生きづらい⇒それはなぜ?と考えてみよう。

生きづらい、というのはそもそもどんな感情なのでしょう?

 外部からの刺激に対して、自分の中の何かが「ああしんどい」と判断するから「しんどい」と思うわけですが、その「しんどい」という想いは、まぎれもなく自分自身の心の声なのでしょうか?

 もし、刺激を受け取る心のセンサーが誤作動しているのだとしたら?

 刺激を受容する自分の脳は、決して完全無欠な器官ではなく、機械の様に調子が狂うことがあります。

 幼少期に十分な愛情を受けられず、プレッシャーをかけ続けられて育った人の心は、そうでない人の心とは物事の捉え方が違ってしまうのです。

 何気ない言葉に傷ついたり、自分に自信が持てなかったりして、円満な人間関係を築くのが難しいそれだけではなく、心ならずも同じようなプレッシャーを与える人に心惹かれてしまったり、大切な人に、自分が浴びたのと同じ圧力を与えてしまう。

 周囲の人も何とかしようとして、こんこんと説教したりするのですが、肥満が説教で解消することも、説教でマラソンを速く走ることができないように、生育過程が原因の「認知のゆがみ」も、一定のトレーニングを介してでないと治らないのです。

 

認知のゆがみを直すトレーニング

典型的な認知のゆがみ、とは?

  • 白黒、善悪、好悪のどちらかに結論づけたがる(白黒思考)
  • あの人はケチだ、だから〇〇出身の人はみなケチだ、みたいな考え方(過度の一般化)
  • ちょっとした欠点を大げさにとらえる(色眼鏡、心のフィルター)
  • いいことがあっても「次は悪いことが起きる」と否定的に考える(マイナス化)
  • あいつはあんな奴だ、とレッテル張りしたがる
  • ちょっとした事でもうだめだ、嫌われてる、と結論付ける(結論の飛躍)
  • 過大評価、過小評価が極端
  • 感情的な理由で判断をしてしまう
  • 役割、性別を根拠に~べき、と決めつけたがる
  • 周囲の物事をすべて自分が原因と関連付けしてしまう

 誰にでもあること、ですが度が過ぎると人間関係に響いたり自分の心が壊れてしまう。 

これらを解消するトレーニングが、認知行動療法

  • どんな出来事があったか
  • そのことをどう思ったか
  • どんな感情が湧いてきたか
  • どんな行動をとったか

 を紙に書き出していき、その認知、感情、行動が理にかなったものか、ゆがみがないか都度振り返りを行います。

ポイントは、自分にとって損か得か

 いろいろ考え込んでしまう人は、いやなことがあるとどんどんネガティブな思考で脳内を埋め尽くしてしまいがちなのですが、ある見方をするようになれば、ずいぶんと気が楽になるはずです。

その考えや行動は、自分にとって得になる?損になる?

 職場で人を批判し続ける人がいます。その人にとってその批判は「正しいこと」なのかもしれませんが、のべつ幕無し批判話を聞かされる周囲の人たちにとっては迷惑でしかありません。

 誰かの言葉に傷ついた。それは事実でしょうが「傷ついた、傷ついた」と騒ぎ立てても何かが改善されるわけではありません。同情はされるかもしれませんが。

 つまり、先に述べた認知のゆがみに基づく判断や感情にとらわれていても、自分を含めて誰一人ハッピーにはならないことに気づきませんか、ということ。

 何かあるごとに傷つき騒ぐのは燃費が悪く、故障ばかりしている車のようなもの。もっとすいすい軽やかにドライブを楽しみましょうよ。ということなんです。

トレーニングで、自分の心を改善する

 では、具体的にどのようなトレーニングをすれば認知のゆがみを修正できるか?

本書の後半からの抜粋です

  • 認知のゆがみとはなにか、具体的に把握する
  • イラッとしたときに、認知のゆがみがないかこまめにチェック
  • 自分にとって、善悪や好悪ではなく、特になる判断、行動を選ぶようにする
  • 人間関係を円滑にするスキルのうち、自分が不得意なものは何かチェックする
  • 自分を認める、好きになる
  • 自分に刷り込まれた悪い癖に「上書き」を行う 
  • あきらめず、何度でも何度でも「上書き」を行う

腰痛とか、英会話とか、ダイエットとか。

 克服したい、身につけたいと思っても大体の人が三日坊主で終わってしまうように、自分の心のクセを直すのも一筋縄ではいきません。

 本書でも、活動半ばで著者のもとを去りその後の経過がわからない人がいます。

 成就できない人のほうが多いのではないかと推測します。

 それでも、せっかくの人生、下を向いて生きるよりも少しでも前を向けるようにできないか、と思わせてくれるだけの動機付けと動機付けをこの本は与えてくれます。

 

 「毒親」の影響に悩む人だけでなく、自分の心と向き合いたいすべての人にこの本をおすすめします。

 f:id:no20170416:20170506121909p:image